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お知らせ

JCR格付け推移マトリックスおよび累積デフォルト率の公表について
2006.01.27
<推移マトリックスの一部係数(証券化商品(ABS)の格付け推移マトリックス)に誤記がありましたので2008/1/25付NEWS RELEASE(07-D-1083)で訂正しました。同日付のレポート&トピックスをご参照下さい。>


JCR格付け推移マトリックスおよび累積デフォルト率の公表について

2006年1月27日

今般,(株)日本格付研究所(JCR)では,例年公表している格付け推移マトリックスおよび累積デフォルト率について,2005年の格付けを反映した内容を以下の通り公表することとした。
なお,今回は累積デフォルト率について,従来の企業格付けを対象とした格付けカテゴリー別累積デフォルト率(格付け記号「D」を付与することをデフォルトと定義)に加えて,新BIS規制の関係で重要となっている広義のデフォルト定義に基づいて算出した累積デフォルト率も公表することとした。

1.企業格付け推移マトリックス(表1~4参照)*
(1)対象格付けデータ
1995年1月から2005年12月までの11年間に公表した居住者長期格付けのうち,以下の格付けデータを除いたものを対象とした。
・保証,担保付債券の格付け
・劣後債券の格付け
・クレジットモニターおよびp格付け
ただし「保険金支払能力」に対する格付けのように,当初本格付けを付与した後,最終的に「Dp」と格付けしたものは集計の対象とした。
なお,格付けデータは各格付け対象企業の月末時点の格付けを使用した。「D」または「Dp」になった企業名は表4の通り。

(2)作成方法
各銘柄の1年後(3年後,5年後)に対応する月末時点の格付けを比較して,その格付けの推移を集計する。例えば,1995年に1月末時点の格付けに対応する同一銘柄の1996年(1998年,2000年)1月末の格付けを比較する,1995年2月末時点の格付けに対応する同一銘柄の1996年(1998年,2000年)2月末の格付けを比較するなどして,その格付け推移を集計した。

(表1)格付け推移マトリックス(集計単位期間1年)*

(表2)格付け推移マトリックス(集計単位期間3年)*

(表3)格付け推移マトリックス(集計単位期間5年)*

(表4)「D」または「Dp」格付け企業一覧 * 企業名 格付記号 記号付与年
(株)オリンピックスポーツ D 1996
(株)ヤオハンジャパン D 1997
日本国土開発(株) D 1998
東邦生命保険(相) Dp 2000
川崎電気(株) D 2000
大成火災海上保険(株) D 2001
(株)マイカル D 2001
協栄生命保険(株) Dp 2001
千代田生命保険(相) Dp 2001
東京生命保険(相) D 2001
第百生命保険(相) Dp 2001
(株)ペイントハウス D 2005



2.企業格付けを対象とした格付けカテゴリー別累積デフォルト率(表5参照)
JCR格付けの妥当性を客観的に検証するために,企業格付けを対象とした1年,3年,5年の格付けカテゴリー別の累積デフォルト率を前述「1.企業格付け推移マトリックス」の実績データ(期間:1995年1月から2005年12月)に基づいて計算すると表5の通りである。

(表5)格付けカテゴリー別累積デフォルト率


格付/期間 1年 3年 5年
AAA 0.00% 0.00% 0.00%
AA 0.00% 0.00% 0.00%
A 0.06% 0.41% 0.82%
BBB 0.10% 0.83% 1.36%
BB 1.47% 5.98% 13.43%
B 11.54% 56.67% 100.00%
CCC以下 100.00% 100.00% 100.00%

(1995年1月から2005年12月の格付け推移マトリックスより作成)

3.広義デフォルトに基づく格付けカテゴリー別3年累積デフォルト率(表6,7参照)
JCRでは,新たに広義デフォルトに基づく格付けカテゴリー別3年累積デフォルト率の算出を行った。
(1)広義デフォルトとは
JCRが格付けを行った企業で,主力銀行等による債権の放棄や,債務の株式化を行った企業もデフォルト企業としてカウントし,表4のデフォルト企業数(狭義デフォルト件数)と合算して広義デフォルト件数を算出した。
なお,各年の狭義デフォルト及び広義デフォルトの件数は表7の通り。
(2)作成方法
過去10年間平均の3年累積広義デフォルト率を計算する目的で,1993年から2005年までの各年12月末時点において,各格付けカテゴリーから1年後,2年後,3年後に広義デフォルトになった企業をカウントし,1年後,2年後,3年後のデフォルト率の計算を行い対象期間の企業数で加重平均を行った。こうして計算した1年後,2年後,3年後のデフォルト率に基づいて,生存率を加味する方法?により累積デフォルト率を算出した。

注:1年後のデフォルト率:α1,2年後のデフォルト率:α2,3年後のデフォルト率:α3
3年累積デフォルト率=1-(1-α1)×(1-α2)×(1-α3)

(表6)広義デフォルトに基づく格付けカテゴリー別3年累積デフォルト率 (過去10年間の平均値)

AAA-AA A BBB BB B CCC CC C
0.00% 0.52% 1.51% 16.03% 74.29% 100.00% 100.00% 100.00%


(表7)狭義デフォルト及び広義デフォルトの件数

狭義デフォルト件数 広義デフォルト件数
1993年 0 0
1994年 0 0
1995年 0 0
1996年 1 1
1997年 1 1
1998年 1 1
1999年 0 4
2000年 2 3
2001年 6 7
2002年 0 2
2003年 0 2
2004年 0 4
2005年 1 4

4.証券化商品(ABS)の格付け推移マトリックス(表8から12参照)
 昨年と同様に「経過月別の格付け推移」とここ3年間のデータを対象に「1年間(暦年ベース)の格付け推移」を公表することとした。

(1)対象格付けデータ
調査対象は,1996年11月から2005年12月までに非公表を含めて格付けを行った案件のうち,原則として裏付け資産について優先劣後構造で信用補完された案件とした。
なお,リパッケージ債や保証付案件など第三者の格付けに連動するものは除いた。
また,複数のトランシェに分かれている案件については,償還期日が分かれていても同順位の場合はまとめて1件とカウントした。

(2)作成方法
(i)経過月別格付け推移マトリックス(表8~10参照)
対象案件が発行時から経過月数に応じてどのように変化したか,調査集計した。その上で12ヶ月,24ヶ月,36ヶ月経過した時点において各案件が当初格付けからどのように変化したか,その分布状況を表示した。各経過月数を満たさずに償還された案件や格付けの変化があっても経過月数を満たさないものはカウントをしていない。

(ii)1年間(暦年ベース)の格付け推移マトリックス(表11および表12参照)
2003年から2005年に関して,各年1月1日時点の格付けが年末にどのように変化したかを調査し,3年分の件数を合算し平均した格付け推移分布状況を表示した。また,参考までに2005年の1年間について,その分布状況を表示した。


経過月別格付け推移マトリックス

(表8)12ヶ月経過時点

(表9)24ヶ月経過時点

(表10)36ヶ月経過時点


1年間(暦年ベース)の格付け推移マトリックス

(表11)2003~2005年の平均

(表12)2005年の推移

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